ごめんください、郵便です。
はーい。
カッパさんはこちらですか?
そうです。
こちら、xxxxさんからです。
あれれ、そんなひとしらないよ。
それでも、あなた宛ての郵便なのです。
そうですか、ごくろうさまです。
ごきげんよう。
このひとだれだろう?へんだなあ。でもあけてみようかな。
「カッパさんへ
わたしはあなたを知っています。
いつもあなたを見ています。
真四角に切り取った世界から、
オレンジのエンドロールの向こうから、
さかさまにまどろむ闇の中から、
寝っころがってあなたを見ています。
いつかわたしをみつけたら、
大事なたからものをあげます。
それまで、どうかお元気で。」
ぼくをしってるひとみたい。でもぼくはこのひとしらないや。
おへんじをかいたほうがいいのだろうけれど、じゅうしょがわかんないよ。
しかたないから、たんすのおくにしまっておこう。
またいつのひか。
はっ、
よくねたなあ。
そういえばあのときのおてがみは、まだあるかな。
ごそごそ
あった、これだよ。
どれどれ。
「カッパより
ぼくはきみをしっています。
いつもきみをみています。
あらしのよるのまどガラスから、
くろいなみがよせるはまべから、
ちゃっくのついたくちのなかから、
ねっころがってきみをみています。
だいじなたからものは、きみにあげます。
」
あれれ、なんだかこないだとちがうよ。
おかしいなあ。
これはぼくのかいたおてがみだから、だれかにおくらないと。
あれれ、でもおくりさきがわかんないや。
しかたない、また、しまっておこう。
ああ、
ねむいなあ。