こぼれそうな、その瞳から今にもこぼれてきそうな、
くちびるから、そのくちびるから漏れ聞こえてくる、
しなやかにゆれる細い線がなぞる、こころの奥の方。
顔を両手で覆って、からだをぴいんと伸ばして、それと向き合う。
描かれた美女たちは皆、同じ髪型をしていた。
この絵によく似た人を知っている。
その人はとなりであくびをしていた。
顔を覗き込むと、覗き返して、ちょっと笑う。
(これだけで、百の会話ができる。xをxxってそういうこと。)
どこかで拾ってきたそれは、ジーンズのポケットにちょうどおさまるくらいの大きさで、にぎってみると少し、あたたかい。
持って帰って、お布団の中で、さらにあたためる。
夜更けとともに、だんだんと形があやふやになってきたそれは、次第に弱く光を放つようになった。長い年月土に埋まっていた宝石が、掘り返されて現れて、再び光り始めるように、それは静かな夜にしいんと響くように、かすかな声をあげていた。
目が覚めると、それは手のひらからなくなっていた。
布団から出て、コーヒーを入れていると、
絵の中の美女が、呼んでいるような気がした。